キハラケイスケ(so far, so close / 佐賀GEILS / ONE PLUS ONE 主宰)
葉山久瑠実「いてもいなくても一緒だよ?」に寄せて
ここでは、ゴム毬のように軽やかに弾むピアノとともに、鉛の銃弾の如き辛辣な言葉たちがいっせいに飛び交っている。それは、驚く程キャッチーなメロディにのせて、ときにあっけらかんと、ときにささやくように、ときにはうめくように歌われる。(いや、歌というより、呪詛とか祈りとか、そういったものの方が近いかもしれない。それほど自由な表現を獲得しているから。)
やがて、戦場のようなこの感情の衝突の中で、あきらめることで大人になろうとする少女の姿を見る。彼女は彼女なりのやり方で大人になろうとしている。彼女は、ほんとうは誰より臆病で、誰より優しいのだ。
大袈裟な言い方かもしれないけれど、ぼくは、彼女の音楽を通じて感情が浄化されていくのを感じます。カタルシスってやつですね。葉山久瑠実の音楽は一級品のエンターテイメント。悲劇が喜劇になって、喜劇が悲劇になって。戯曲やミュージカルやサーカスや古典文学、そういったものにも全くひけを取らないと思うんです。
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